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利益が出る会社になるための税務マニュアル―正しい知識と制度の活用法

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 宗和税理士法人編

定価:3,360円(税込)

発行日:2011-06-21
A5判/284頁
ISBN:978-4-502-04200-3 

 

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私本 会計・監査業務戦後史 [単行本]

川北 博 著

定価:3,500円(税抜)

単行本: 407ページ

出版社: 日本公認会計士協会出版局
発売日: 2008/07
おすすめ度: 5つ星のうち 5.0 

 (1 件のカスタマーレビュー)

 

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「平成25年税制改正のポイント解説 ~相続税・贈与税 編~」

 

 去る平成25124日、自民・公明両党が平成25年税制改正大綱を決定しました。その内容は、デフレ脱却と景気浮揚を税制面から後押しするため、企業に設備投資や雇用拡大などを促す減税制度に重点を置く一方で、個人にも大きなインパクトを与えるものとなりました。今回は、税制改正大綱のなかから個人の相続税と贈与税の改正点について整理をします。

 

 なお、税制改正大綱の概要につきましては、弊所作成の「平成25年度税制改正大綱の概要と実務対応」をご参照ください。

 

【1】  改正点の整理

 

1)相続税の主な改正は次のとおりです。

 

①  遺産に係る基礎控除額の引き下げ

 

現行(2612月末まで)

改正後(2711日以後

定額控除額

5,000万円

3,000万円

法定相続人比例控除額

1,000万円×法定相続人の数

600万円×法定相続人の数

 

②  税率構造の見直し(平成271月以後適用されます)

   相続財産2億円以上からの税率見直し。

 

③  未成年者控除と障害者控除の引き上げ

 

現行(2612月末まで)

改正後(2711日以後

未成年者控除

20歳まで1年につき6万円

20歳まで1年につき10万円

障害者控除

85歳まで1年につき6万円

(特別障害者は12万円)

20歳まで1年につき10万円

(特別障害者は20万円)

 

④  小規模宅地特例の見直し

(イ)    特定居住用宅地等の適用対象面積を240㎡から330㎡までの部分に拡大されます。

(ロ)    特定居住用宅地と特定事業用宅地とがある場合の併用につき、それぞれの限度面積(居住用330㎡、

    事業用400㎡)まで適用が拡大されます。

    ⇒完全併用すると最大で730㎡が特例の対象となります。

(ハ)    構造上区分され二世帯住宅の特例の適用について、構造上の要件が緩和されます。

(ニ)    老人ホームの終身利用権を取得して入居している場合で、一定の要件が満たされれば特例の適用が

    認められることになりました。

 

()()は平成2711日以後()()は平成2611日以後の相続について適用されます。

 

⑤  事業承継税制納税猶予制度について、主な要件の緩和がされました。

(イ)    雇用確保要件の緩和

    毎年80%以上雇用確保から5年間平均で80%以上の確保に緩和されます。

(ロ)    経営承継相続人等の要件のうち、被相続人の親族であることとする要件から親族以外の後継者への相続

    ・遺贈でも適用対象となります。

(ハ)    先代経営者は贈与時に代表者を退任すれは、贈与後も引き続き役員でも適用対象となります。

(ニ)    役員である贈与者が認定会社から給与の支給を受けた場合でも、贈与税の納税猶予の取消事由に該当

    しないこととなります。

(ホ)    この他、相続・贈与前の経済産業大臣による事前確認制度の廃止、利子税の軽減など。

 

平成2711日以後に相続・遺贈・贈与より取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用されます。

 

⑥  国外財産についての見直し

日本国内に住所を有しない個人で日本国籍を有しないものが、日本国内に住所を有する者から相続若しくは遺贈又は贈与により取得した国外財産を、相続税又は贈与税の課税対象に加えることになりました。現行では、日本国内にある財産のみ課税対象でしたが、国外財産にまで課税対象となる財産の範囲が拡大されることになりました。

平成2541日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する国外財産に係る相続税又は贈与税につい て適用されます。

 

 

(2)贈与税の主な改正は次のとおりです。

 

①  税率構造の見直し(平成271月以後適用されます)

20歳以上の子や孫が親や祖父母などからの贈与については特別に税率構造が緩和され、「直系尊属からの贈与」と「(それ以外の)一般の贈与」とでは適用税率が次のとおり分けられることなります。

 

 

現行

直系尊属からの贈与

一般の贈与

課税価格※

税率

控除額

税率

控除額

税率

控除額

200万円以下

10

0

10

0

10

0

200万円超300万円以下

15

10万円

15

10万円

15

10万円

300万円超400万円以下

20

25万円

20

25万円

400万円超600万円以下

30

65万円

20

30万円

30

65万円

600万円超1千万円以下

40

125万円

30

90万円

40

125万円

1千万円超

1千万円超は全て50

1千万円超は全て

225万円

40

190万円

45

175万円

1千万円超1,500万円以下

1,500万円超3,000万円以下

45

265万円

50

250万円

3,000万円超4,500万円以下

50

415万円

55

400万円

4,500万円超

55

640万円

※課税価格は110万円の基礎控除後の金額を示しています。

 

②  相続時精算課税制度の適用要件の見直し

贈与者の年齢要件を現行の65歳以上から60歳以上に引き下げ、受贈者の範囲を20歳以上の孫を追加することになりました。

 

③  教育資金の一括贈与に係る非課税措置の創設

(イ)   概要

30歳未満の子や孫へ教育資金を拠出し、金融機関に信託等をした場合、受贈者(子・孫)1人当たり1,500万円(学校以外は500万円)が非課税となります。なお、教育資金は学校等に支払う入学金等の金銭と学校以外の者に支払う金銭のうち一定のものをいいます。

(ロ)   申告と払い出し

受贈者は教育資金の非課税申告書を金融機関を通じて税務署長に提出しなければなりません。払い戻しをした場合、教育資金の支払いに充当したことを証する書類を金融機関に提出しなければなりません。

(ハ)   終了時

・受贈者が30歳に達した場合、金融機関は教育資金として払い出した金額の合計額(教育資金出額)を記載した調書を税務署長に提出、教育資金支出額を除いた残額は30歳に達した日に贈与があったものとして課税されます。

 

平成2541日から平成271231日までの間に拠出されるものに限り、非課税特例の対象となります。

 今回の贈与税改正の目玉として注目を浴びておりますが、具体的な運用が明らかになっていないために、本当に 使い勝手がある制度なのか、その動向が注目されます。

 

【2】   実務上の対応

今回の改正点のうち、最も大きな影響があるのは基礎控除額の引き下げです。

例えば、被相続人の財産が7,000万円、相続人が2名(子2名)とします。

そのときの現行と改正後の相続税の負担は次のとおりとなります。

 

現行

改正後

①  基礎控除額

 5,000万円+1,000万円×2

 =7,000万円

②  課税遺産総額

7,000万円-①=0

 相続税がかからない。

①  基礎控除額

 3,000万円+600万円×2

 =4,200万円

②  課税遺産総額

7,000万円-①=2,800万円

③  各人の取得金額

2,800万円×1/21,400万円

④  各取得金額を基にした算出税額

1,400万円×15%-50万円

160万円

⑤  相続税額(2名合計)

160万円×2名=320万円

 

このように、現行では相続税の負担がなかったものが、改正後は納税義務を負うことになります。

現行税率での国民全体における相続税の納税義務者の割合は45%です。

これが基礎控除額のハードルが下がったことで納税義務者の割合が増えることが確実に想定されます。これからの相続税は、一部の富裕層を対象とした税目ではなくなったと言えます。

  いざ相続となったときに慌てるのではなく、平時から、

 

()ご自身の財産の棚卸をする(現時点でどのくらいの財産があるかを把握しておく)。

()()をもとに、改正後の控除額及び税率による相続税額を試算して、現状の財産でどのくらい  の相続税が想定されるかを把握しておく。

()相続時精算課税制度を含む生前贈与を活用して子や孫に資産を移すことを検討する。

  相続開始前3年以内の贈与財産は相続財産に加算されますので、注意が必要です。

 

といった対策を立てて、中長期的な視点で計画的に実行する必要があります。