認定経営革新等支援機関(関東第3号認定)

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宗和ビル(自社ビル)
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利益が出る会社になるための税務マニュアル―正しい知識と制度の活用法

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 宗和税理士法人編

定価:3,360円(税込)

発行日:2011-06-21
A5判/284頁
ISBN:978-4-502-04200-3 

 

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私本 会計・監査業務戦後史 [単行本]

川北 博 著

定価:3,500円(税抜)

単行本: 407ページ

出版社: 日本公認会計士協会出版局
発売日: 2008/07
おすすめ度: 5つ星のうち 5.0 

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「会計不正について」

 

近年、新聞をにぎわすような大企業の不正が多数発生しています。それに応じて、上場企業を対象とした外部監査人の監査では、「不正リスク対応監査基準」が新設され、新たな対応が求められることになりそうです。しかし、それ以上に中小企業においても不正は頻繁に起きています。そのため、不正への対応は、大企業だけでなく、中小企業においても必須であると考えます。

 

【企業における不正とは】

一般的に不正は、「不正な財務報告(粉飾)」と「資産の流用」に分類されます。

 

(1)  不正な財務報告(粉飾):多くが経営者によって行われます。また、不正な財務報告は、以下の方法により行われる場合があります。

 

・財務諸表(決算書)の基礎となる会計記録や証憑書類の改ざんや偽造。

・取引、会計事象又は重要な情報の財務諸表における不実表示や意図的な除外

・金額・分類・表示又は開示に関する意図的な会計基準の不適切な適用

 

(2)  資産の流用:従業員によって行われることが多いが、経営者が関与することもあります。また、資産の流用は、以下の方法により行われる場合があります。

 

・受取金の着服(売掛金の集金を着服する、償却済み債権の回収金を個人口座に入金する等)

・物的資産の窃盗又は知的財産の窃用(たな卸資産を私的又は販売用に盗む、スクラップを再販売用に盗む、技術的情報を漏らす等)

・企業が受けていない財貨・サービスに対する支払(架空の売主に対する支払、水増し支払しキックバックを受け取る、架空の従業員に対する給与支払い等)

・企業の資産を私的に利用すること(企業の資産を個人又はその関係者の担保に利用すること等)

 

【不正が起きる原因】

では、なぜ企業で上記のような不正が起きるのでしょうか。一般的に下記の3つの要因により説明されます。

 

不正リスク要因

内容

動機・プレッシャー

不正を実際に行う際の心理的なきっかけのこと。処遇への不満や承服できない叱責等の個人的な理由や、外部からの利益供与、過重なノルマ、業務上の理由、業績悪化、株主や当局からの圧力等の組織的な理由が原因として考えられる。

機会

不正を行おうとすればそれが可能な環境が存在する状態のことである。重要な事務を一人の担当者に任せている、必要な相互牽制、承認が行われていないといった管理上の不備が主な原因である。

姿勢・正当化

姿勢・正当化とは、不正を思いとどませるような倫理観、遵法精神の欠如であり、不正が可能な環境下で不正を働かない堅い意思が持てない状態を指す。完璧な管理体制の構築は不可能である以上、道徳律の確立が不正予防の必須な要件である。

 

過去の不正の事例においても、上記の1つ若しくは複数が当てはまります。

 

<例示>

□不正な財務報告

株式公開を目指していたソフトウェア開発会社甲社は、①目標利益を達成する必要があった。しかし、昨今の不景気の影響を受け、目標利益を達成することは困難な状況にあった。そこで、②A社社長A氏は、営業部長Bと共謀し、架空の工事契約書及び、完了報告書(検収書)を作成し、売上を水増し計上した。③来期は受注増加が見込まれるため、それで精算すれば良いから何ら問題はないと考えていた。

(不正リスク要因の分析)

動機、プレッシャー:株式公開を目指していたため、目標利益達成という動機、プレッシャーがあったと考えられる。・・・①

機会:社長及び営業部長が共謀しているため、内部統制が有効に機能せず、不正を行う機会があった。・・・②

姿勢、正当化:来期に精算すれば良いと、倫理観が欠如している。・・・③

 

□資産の流用

乙社の地方営業所勤務のX氏は、①営業事務及び債権回収業務を長年に渡り一人で担当しており、②業務に追われていた。乙社の債権回収業務は、取引が複雑であるため、債権の入金消し込みも煩雑であった。また、債権回収業務の業務フローについても、③明確なルールはなく、④前任から引き継いだ方法により行い、⑤上長及び本社のチェックも受けていない状況にあった。そのような状況下でX氏は、債権回収の責任を逃れるため、入金が遅れている丙社債権の入金消し込みを丁社からの入金で行う等の方法であたかも適切に債権が回収できている様に偽りの処理をしていた。また、この様な処理を行っていることに⑥上長、本社も気付いていないため、現金回収の一部の横領も行っていた。

(不正リスク要因の分析)

動機、プレッシャー: X氏は、営業事務及び債権回収業務という重要業務を一人で担当し、業務に追われていたため、プレッシャーがあったと考えられる。・・・①

機会: X氏は、営業事務と債権回収を兼務しており、また、業務に関する明確なルールも無く、上長、本社のチェックも受けていないため、不正を行う機会があった。・・・①③⑤

姿勢、正当化X氏は、重要業務を一人で行う必要があったため、不正な消し込みもしょうがないと思っていた。また、前任担当者も同様の処理を行っており、さらに、上長、本社も気付いていないため、問題ないと思っていた。・・・②④⑥

 

【対応策】

 あらゆる不正には、不正リスク要因が存在していると考えられます。そのため、不正リスク要因を考慮したうえで、対応策を検討することが有用と考えます。

 

(1)  業務量、業務内容の見直し

一人に業務が偏っている状況では、業務を完了させることに追われ、軽微な不正を正当化する可能性があります。また、業務内容に不満がある場合には、それが不正の動機にもなりえます。業務量、業務内容に応じて、人員配置を適切に行う必要があります。

 

(2)  ルールの整備

ルールが整備されていない場合、自分の都合の良い方法で処理してしまいます。そのため、それが会計上の不正であったとしても、気付きません。そのため、ルールを整備し、会計処理として何が正しいかを明確にする必要があります。また、ルールを逸脱した場合の罰則の整備も不正の防止には有用になります。

 

(3)  内部統制の構築

内部統制とは「業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されるために企業内のすべての者によって遂行されるプロセス」をいいます。内部統制は、上場企業や大会社だけでなく、中小企業においても、取締役の責任のもと、構築される必要があります。具体的には、従業員の職務の分担、職務権限に基づいた承認手続き、内部監査室等による業務担当者以外の第三者によるチェック、監査役による監査等がそのプロセスとなります。これらを機能させることにより、不正の機会をなくし、予防することができます。また、不正があったとしても適時に発見し、拡大を防ぐことができます。また、内部統制には、社風、経営者の姿勢、従業員への倫理的教育等も含まれます。不正は行わないという、組織の方針を浸透させる必要があり、これが一番根本的なことであり、一番大切なことかも知れません。

 

(4)  不正による損害の理解

資産の横領は、会社に損害を与えるのは当然のことです。一方で、不正な財務報告を行った場合は、修正申告、更正の請求等の手続きが必要となり、手間だけでなく、税理士費用も発生します。また、組織ぐるみであれば、重加算税が課される可能性もあります。そのため、不正を行うことで会社に与える損害を組織内で周知しておく必要もあります。

 

(5)  不正発見後の対応策

上記の不正に対する対応策を講じたとしても、それで不正が無くなるわけではありません。それでも、不正が発生する余地はあります。大切なのは、不正が発生し、発見された後の対応と考えます。当事者の処分で終わらせることなく、不正の原因を追究し、再発防止策と講じることが重要です。

 

 

【まとめ】

 上記の不正対応策を全て実践することは、会社の規模によっては現実的ではないかもしれません。会社の規模や業種、取引形態に応じ、不正リスクがどこにあるかを見定め、費用対効果を勘案したうえで、不正対応策をご検討下さい。