宗和税理士法人は、税務申告書の作成から、組織再編成、事業承継税務、税務に関するデューディリジェンスに至るまで、幅広いサービスを提供しています。
川北 博 著
定価:3,500円(税抜)
単行本: 407ページ
出版社: 日本公認会計士協会出版局
発売日: 2008/07
おすすめ度: 5つ星のうち
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私の本職はあくまでも公認会計士・税理士等であり、不動産業ではありません。そこで私自身の生業と所在を明確に区分して所在ビルの名称を「宗和ビル」とし、所有する私の家族の会社を「宗和有限会社」としました。
「宗和」は、戦時中トラック島沖で戦死した従兄中山宗一郎(潜水艦機関長)から一字をもらいました。中山家は小松の能美(町)にある古くからの肝煎(名主)の家です。私の父はその三男坊で、川北家の養子となっていました。“和”は戦死した一人息子であった宗一郎のあとを継いだ姪の「和子」の名からとって「平和」を祈念しました。
太平洋戦争による多くの戦死者、戦没者多数が霊界にあるのに、私は幸か不幸か生命を全うして戦中戦後を過しビルを作るようなことにもなりました。私はこのビルで、いちばん血脈の近い父や従兄宗一郎に代表される戦没者の霊を弔い、その後の平和に感謝し、全力を尽して祖国の繁栄につくそうと思いました。「宗和」はそのように戦死者、戦没者の霊を弔い、祖国の未来に幸あれとの祈りをこめた命名でした。
ところが、この「宗和」という名が全く別個な角度から私たちに幸福感をもたらしてくれました。それは、霊界にある戦没者の人たちが、私たちに与えて下さった物語のように思えます。
川北家の出自は加賀の国であり、それは前田家の所領でした。その加賀前田家にも関連した「金森宗和とその子七之助」の物語は、別紙「淡交」特集「没後三百五十年・・・金森宗和を偲ぶ」(平成十八年十二月号)に詳しく紹介されていますのでご覧下さい。
私はこの昔ばなしを知ってすっかり嬉しくなりました。「辛きこと、苦しきことのみ多かりき」というのが私の一生のようでもあり、このビルを作るときも、運を天にまかせる気持ちでリスクを乗りこえてきたのに対して、なにか神佛が私たちにご褒美を下さったような気持ちになりました。私は「宗和ビル」を本拠として、かつ働きかつ学んで生きる日々、太平洋戦争の悲惨な時代の戦死者・戦没者の供養を忘れまいと思い、また故郷にも絡んだ有難いご縁に感謝して余生を全うしたいと存じています。そしてまた私の家族もその思いを引き継いで、祈りを続けてほしいと希っています。
このビル最上階に、小さな庭と茶室をあえて設えたのは、こうした宗和流茶道との偶然の御縁を大切にしたいと思ったからであります。